出演・スタッフ


登場人物
ホアンJ.ドミンゲス弁護士
身体的な傷害事件の取り扱いを専門とするキューバ系アメリカ人弁護士。南カリフォルニアにオフィスを構えているが、「アクシデンテス(ACCIDENTES)」と描かれた目立つ広告をバスや大型の看板に出しているので、地元ではあちこちでその名前を目にする有名人だ。彼は、ラテン系の人たちの訴訟代理人として長年キャリアを積み重ねてきた。米国一流弁護士クラブ(US Super Lawyer Club)の会員としても登録されている。12人のニカラグア人バナナ農園労働者たちのドール・フード社に対する訴訟の共同弁護士として画期的な法律闘争に参加している。

デュアン・ミラー弁護士
サンフランシスコを拠点として活動する弁護士で、DBCPを含む有害物質に関する不法行為裁判で初めて勝訴した人物。ドミンゲス弁護士に依頼され今回の訴訟で原告側弁護団のリーダーを務めている。

リック・マックナイト弁護士
ドール・フード社の顧問弁護士で、DBCP問題についての先例によってダメージを受けることがないようにドール・フード社を守ろうとしている。

デビッド・デロレンツォ
ドール・フード社の社長兼CEOで、証人として裁判に出廷。

アルベルト・ロザレス
映画の冒頭シーンに登場する葬儀で埋葬されている人物。ニカラグアのバナナ農園でずっと働いていた。家族は、彼の死が農薬にさらされ続けたことで引き起こされたと信じている。

カルメン・ロザレス
アルベルトの妻。彼女もバナナ農園で働いていたが、2人の子供を流産してから仕事を辞めた。アルベルトの死後、がん性腫瘍の化学治療を受けている。

バイロン・ロザレス
アルベルトとカルメンの3人の子供のうちの1人。家族の生活を支えるために数学教師の仕事をしている。父親が死んで以来、労働者たちへの法的な正義を求めている。

バヤルド・オコン神父
埋葬に立ち会ったローマカトリック司祭。不道徳な慣習のせいでコミュニティの大勢の人を死傷させたとして、農園所有者やアメリカの多国籍企業を強く批判している。

12人の原告たち
テレズ対ドール・フード社裁判の最初の原告たち。ドール社が使用したDBCPという農薬によって不妊症になり、ドール社はその危険性を積極的に隠ぺいしたと主張している。

監督のことば
第1話 ゲルテン監督、訴えられる Big Boys Gone Bananas!*
私にとって、『第1話(Big Boys Gone Bananas!*)』は、どうしてもつくらなければならない作品でした。ドール・フード社のような巨大多国籍企業に訴えられたのは、人目を引いて自分の宣伝をするためでもないし、愉快なことでもありません。しかし、とても興味深い経験でした。いろいろなことを学べますし、その闘いを乗り切れば人に伝えるべき話題ができます。

私は、ジャーナリストや映画監督の仕事をして25年になります。今回は、自ら大企業の攻撃対象になるという経験をして、社会やメディアについての理解が深まりました。
この作品で私がしようとしているのは、これまでドール・フード社がどのようなやり方で何をしたのかを知ることです。すると、次々と疑問が湧いてきました。ドール社は、一体どうやってメディアの報道内容をコントロールし、2年近くも『第2話(Bananas!*)』のアメリカでの上映を阻止できたのでしょう。
また、この映画は大企業が弱者をどのように脅して恐怖を抱かせるかについて描いた作品でもあります。ひとりの映画製作者に襲いかかる金銭や権力の容赦ない威力を感じたとき、周囲の人々はどのような反応を示すでしょうか。私から離れていった人たちもいます。私たちを孤立した状態でこの闘いに挑ませようとしたのです。おそらく、ドール社の言い分が正しいと思ったのでしょう。あるいは単に、この闘いに加わる余裕がなかったのかもしれません。しかし幸いなことに、熱心に私たちと連帯してくれる人たちが現れました。例えば、『第2話(Bananas!*)』の上映運動に関わっているヨーロッパのキャスターたちは、アメリカで上映差し止め訴訟が行われたという事実があるにもかかわらず、『第2話(Bananas!*)』の放送を決定してくれました。さらにスウェーデンでは、スーパーの客や活動家らがドール・フード社の商品をボイコットするように圧力をかける動きがありました。残念ながらスーパーが実際にドール社の商品をボイコットすることはありませんでしたが、代わりに、ドール社に訴訟を取り下げるように要求してくれました。

現在では、独立系のドキュメンタリー映画がこれまで以上にとても重要になっています。こうした映画は、真実を伝える最後の砦です。伝統的なメディアの支局は資金不足から報道に十分お金をかけることができません。そして、多くのメディアは企業体に所有権を握られ、企業体がニュースの内容や報道形態、その流通過程に大きな影響力を持っています。これからも企業の悪事に関する内容を伝えようと考えているドキュメンタリー映画製作者にとっては、真実を追求するのがさらに難しくなり、反発もますます大きくなって行きます。私たちが『第2話(Bananas!*)』を作っていく中で体験したことや今回の『第1話(Big Boys Gone Bananas!*)』で描かれているような問題に終止符が打たれることはないでしょう。

この作品がきっかけとなり、巨大企業がメディアを操り弱者である人々に恐怖を抱かせることで、どのようなことをしていて、どのようなことができるのかについて議論が起こることを期待しています。そして、今回の自分の訴訟の間、いつも疑問に思っていたことがあります。果たして、言論の自由や報道の自由は、どのぐらいまで制限を受けないものなのでしょうか。
私たちは映画を作り、こうした話を伝え続けなければならないのです。

第2話 敏腕?弁護士ドミンゲス、現る Bananas!*
映画監督としての私の夢は、観る人たちの心にきちんと届くような作品をつくることです。それが、私が何かを伝えようとするときに行間に込める一番大切なものです。この『第2話(Bananas!*)』を観た人に、何百年にも渡り、バナナ栽培の犠牲となっている労働者たちの、危機的な生活を知ってもらいたいと思っています。映画に登場する労働者たちやその家族そしてコミュニティは、貧困に苦しんでいるだけでなく、土地に残されたり水に浮かんでいる化学物質による災厄に悩まされています。

また、作品の中ではヒューマンドラマの要素を入れるようにしています。それは、物語を通じて観る人たちの心に強い印象を与えるためです。複雑な人間関係や登場人物のさまざまな性格を知れば、観ている人はきっと何かを思い、感じてくれるでしょう。

例えば、バナナ農園労働者たちの弁護士ホアン・ドミンゲスは素晴らしい人で、裁判の勝敗にかかわらず非常に熱心にこの案件に取り組んでいます。それに彼は、この裁判では、ニカラグアのチナンデガ地域の貧しいバナナ農園と、アメリカのカリフォルニア州ロサンゼルスにある豊かな大企業の橋渡し役になっています。

この作品はロサンゼルスの上位裁判所に初めて持ち込まれた歴史的な裁判を追跡したドキュメンタリーです。映画の最後には陪審員の評決が出るのですが、この決定は、まだ上訴中です。

2009年4月、農園労働者の裁判の主席を務めるチャニー判事は、ドミンゲス弁護士が代理人をしている一連の訴えを退ける決定を下しました。この決定は、映画の撮影が終わった後に出たものです。そこで私たちは、この新しい展開に合わせて映画の最終部分をチャニ―判事の決定を反映させたものに変更しました。これまでのところ、ドミンゲス弁護士は公式には何の罪にも問われていません。つまり、基本的には何も変わっておらず、全てが元のままなのです。

2009年5月8日、ドール・フード社が初めて、私やプロデューサー、製作会社、そしてロサンゼルス映画祭運営者に、上映停止を請求する手紙を送ってきました。私たち映画製作者が、今度は突然映画で扱っている法廷闘争の当事者になってしまったのです。私たちはまるで、ドール・フード社というゴリアテのような強大な企業と闘う弱者ダビデでのようでした。この法廷闘争は、5カ月以上も続きました。

ドール・フード社は2009年7月8日に、私たちを名誉棄損で訴えました。私たちは、このような不当な非難から身を守るために、たくさんのお金と時間を費やさなければなりませんでした。しかし、ドール社にたいする闘いを続けていく中で、世界中そして祖国スウェーデンから、多大な支援を得ることができました。そして2009年10月15日、ついに私たちは勝利しました。ドール・フード社は、この不当な訴訟を取り下げたのです。現在この映画は、法的な措置をとられる影響におびえることなく皆さんに観てもらえるようになりました。この作品をこうして皆さんと共有できることを、心から嬉しく思っています。

スタッフ
第1話 ゲルテン監督、訴えられる (原題:Big Boys Gone Bananas!*)
監督:フレドリック・ゲルテン
撮影:ジェセフ・アグイレ/キキ・アルゲイエ/ステファン・ベルグ/マリン・コルケアサロ/ホセ・ガブリエル・ノグエ
編集:ベンジャミン・ビンデラップ/ヨスパー・オスモンド
録音:アレクサンダー・トロンキビスト
制作:WG FILM スウェーデン/2011年/87分

第2話 敏腕?弁護士ドミンゲス、現る (原題:Bananas!*)
監督:フレドリック・ゲルテン 
撮影:フランク・ピネダ/ジェセフ・アグイレ
編集:ヨスパー・オスモンド
録音:アルセニーオ・カデナ
制作:WG FILM スウェーデン/2009年/87分

後援:スウェーデン大使館
協力:大地を守る会/APLA/オルター・トレード・ジャパン/スウェーデン映画祭実行委員会/日本映像翻訳アカデミー

宣伝美術:追川恵子
宣伝協力:藤井裕子/松下加奈
配給:きろくびと